ARP

TUTORIAL: NOISE / CONTROLLERS

2015.07.22

ARP ODYSSEYの各パラメーターとその活用方法について、当時の歴史を交えつつ解説します。今回は「NOISE」「CONTROLLERS」についてです。
文:林田涼太(Iroha Studio)

NOISE GENERATOR

NOISE GENERATOR

ノイズ・ジェネレーターが出すノイズの種類をWHITEとPINKの2つから選びます。WHITEは「サー」というノイズで、PINKは「ゴー」という太い音です。ノイズはオーディオの世界では不必要な「雑音」でしかありませんが、シンセサイザーの世界では音作りの原音として積極的に利用されます。 多くのコンパクトなシンセサイザーではノイズはホワイト・ノイズしかついていないことが多いと思います。ホワイト・ノイズは高域が強調されていて、サウンドにざらついたかんじを出したいときや風のようなサウンド・エフェクトなどにも音源として利用されます。ARP ODYSSEYでは音源としてだけではなく、ノイズをモジュレーション・ソースとして使うこともできます。 ピンク・ノイズは低域にパンチがあるため、爆発音やパーカッシブなドラム、あるいはS/Hを使ってランダムな電圧を取り出すためによく使われます(パネルの右上あたりにあるDRIVEスイッチを入れて歪ませるとノイズはより荒っぽくなります)。スイッチしかないシンプルなモジュールですが、使い方は沢山あります。ホワイト・ノイズ同様ピンク・ノイズも単純なローパスフィルター(高域をカットする)では無く、凝ったフィルターになっているので他にはない特徴的な音になっています。

       
CONTROLLERS

CONTROLLERS

PORTAMENTOは音階の動きを滑らかにつなげるためのものです。1つ目の鍵盤を押し、2つ目の鍵盤を押したとします。その時、2つ目の鍵盤を押した瞬間は1つ目の音程からスタートし、PORTAMENTOで設定した時間だけかけて実際の音程へ移行します。結果的に音のアタマ部分にピッチの変化が見られるため、少し人間的なサウンドになります。これは外部からMIDI信号で動かした時にも有効です。ポルタメントのON/OFFはリアパネルの“PORTAMENTO FOOTSWITCH”にフットスイッチを取り付けることで操作することもできますので、演奏の一部分にだけポルタメントが入るなんて使い方もできます。TRANSPOSEは上下に2オクターブもトランスポーズしてくれるスイッチです。当時のオリジナルARP Odysseyが、少ない鍵盤でより広範囲のオクターブをフォローしようとした結果かもしれませんが、一気に2オクターブもトランスポーズするスイッチは他にあまり見かけません。しかし使ってみるとこの2オクターブという「さじ加減」が非常によくできていることに気づきます。演奏の途中にも動かしやすいように大きめのレバーになっているところもおしゃれです。ARP ODYSSEYのVCOはピッチが可変式ですからVCOでオクターブを変えるよりここで切り替えたほうが便利です。

MODEはRev1とRev2/3で動作の切り替えができ、TRANSPOSEを動かした時にポルタメントを有効にするかどうかを選ぶスイッチです。Rev1がトランスポーズを切り替えてもポルタメントがかかる仕様になっています。これはオリジナルのARP Odysseyにはなかったスイッチです。思わずPORTAMENTOをかけながらTRANSPOSEをバシバシと切り替えるプレイをやりたくなります。

PROPORTIONAL PITCH CONTROLは古参のARP Odysseyユーザーには”PPC”の略称で知られたコントローラーです。柔らかいゴムでできており、指で押し込む力の強さによってピッチベンドとビブラートの強さを調整できます。これはオリジナルでは後期モデル(Rev3)についていた機能で、中期モデル(Rev2)の一部にもPPCだけを後付けしたものがまれにあります(当時そういう取り付けサービスが行われていたようです)。その前まではピッチベンドに使える丸いノブがこの場所に一つ付いているだけのシンプルなものでした。ここでかけるビブラートとピッチベンドはVCOセクションでかけたモジュレーション設定とは独立しています。LFOは共通ですが、VCO1とVCO2に対して同時にビブラートの強さを決められるのでPPCを使う方が自由なプレイができると思います。