ARP

TUTORIAL: LFO

2015.07.27

ARP ODYSSEYの各パラメーターとその活用方法について、当時の歴史を交えつつ解説します。今回は「LFO」についてです。
文:林田涼太(Iroha Studio)

LFO

LFO

LFOは鍵盤の演奏に関わらず、常にゆらゆらと周期的に揺れるコントロール信号を出し続けているオシレーターで、オーディオ信号としては使えませんが色々なものに応用が利きます。LFOセクションではスピードを変えるFREQパラメーターしかありませんが、実際にはサイン波とパルス波の2種類の波形が取り出せます。

LFOはVCOのピッチのモジュレーション・ソースとして使った場合はビブラート効果が、フィルターのカットオフの開閉に使った場合はワウ効果が得られます。また均等のタイミングで周期的に波形が揺れていることを利用して、後述のS/Hで検出タイミングのソースとして使われたり、エンベロープを連続的にトリガーさせる信号としても利用されます。

またこれはオリジナル ARP Odysseyにはなかった機能ですが、LFOの周期に合わせてLEDが点滅している様子がLFOのスライダーの溝の隙間から見えるようになっています。LFOの速さを目で確認することができるのは思った以上に便利です。

S/H (SAMPLE & HOLD)

S/H (SAMPLE & HOLD)

サンプル・アンド・ホールドという呼び方で有名なこの機能は、独特のコントロール信号を生み出すモジュールですがその動作をわかりやすく説明するのは少々難しくもあります。まずS/H MIXERでまとめられた信号に含まれる「めまぐるしく変わる電圧」がソースとしてあります。ここではVCOとノイズ・ジェネレーターがそのソースとして利用できます。これらのオーディオ信号は音としては安定したものに感じるかもしれませんが、常に複雑に揺れています。次にLFOまたはキーボードのトリガーが入ってきたタイミングで瞬間的にソースの電圧を「検出=サンプル」します。その時に検出した電圧というものは、検出した時にたまたま流れてきていたソースの電圧値を読み取ったものなので、どのような値を検出するかはかなり偶然に任せたものになりがちです。例えばノイズのような不安定なソースの信号に対して検出作業を行った場合は検出のたびに違ったランダムな電圧値が得られることになります。つまりS/Hの検出値に関しては常にランダムな要素がつきまとうのです。

そしてその検出した電圧を次の検出が行われるまで「保持=ホールド」するというところまでがS/Hの基本的な動作になります。昔のコンピュータを思わせるようなランダムなピコピコ・サウンドはピンク・ノイズをソースにしてLFOで切り刻む設定にし、それをVCOのFMモジュレーション・ソースとして使えば簡単に作ることができます。典型的なS/Hの原理を耳で確かめるにはとても参考になるでしょう。

OUTPUT LAGをあげるとその検出の電圧値が変わる時にポルタメントのような効果をもたらします。