ARP

Minoru Koike

SOUNDS: Minoru Koike

2015.07.07

小池実:ベース、キーボード、短波ラジオ奏者。南米、北米を中心に世界的に活動するバイオリニスト/音楽家のPauchi Sasakiのセカンド・アルバム『KoPpu』に共同プロデュース、楽曲提供、演奏で参加。シンガーソングライター/ギタリストの山崎怠雅のアルバム『フィクション』、『モノリスと海』にベーシストとして参加し、山崎怠雅クインテットのベーシストとしてもライブ活動中。YMOトリビュート・バンド「O-Setsu-Y」の音楽監督として演奏面のバックアップを手掛ける。また、短波ラジオ奏者としては同じく短波ラジオ奏者の直江実樹、自作電子楽器製作/音楽家の米本実とのトリオ「実ズ」で活動中。2009年に自身のアルバム『Tiny Sketches from a Different Window』を発表。

Sync Lead

ARP ODYSSEYの特徴の1つであるオシレーター・シンクを使用した音色です。VCO2のピッチをVCO1に対して1オクターブ+4度上に(ドを押すと1オクターブ上のファが鳴る)設定しています。オシレーター・シンクをオンにしていますので、オーディオ・ミキサー部ではVCO2のみを使用します。 フィルターはタイプIIIを使用していますが、ほぼ素通しの開放状態になっています。ADSRが比較的パーカッシブな設定になっていますので、VCFのカットオフを絞ることでフィルター効果が出ます。 また、ARP ODYSSEYはVCO1が低音優先、VCO2が高音優先という設計ですので、オシレーター・シンク使用時に例えば低音部の鍵盤を押さえたまま、高音部の鍵盤を演奏すると、発音する音色の倍音構成が、演奏する鍵盤のピッチによって大きく変化し、いわば電子版ホーミーのようなサウンドになります。ライブでのソロでちょっとしたギミックに、あるいはリバーブを深くかけて少し変わったタイプのドローン・サウンドなどにも効果的です。

Sync-Lead画像

S&H Wobble Bass

Rev.1のフィルターにドライブをオンにした、アシッド風のベース音色です。音色の動きを出すためにサンプル&ホールド(S/H)を使用し、S/HのOUTPUT LAGを最大にしてランダムが滑らかに変化します。この変化は、VCFのカットオフ・フリケンシーのモジュレーションに使用しています。 VCO1はパルス波、VCO2は鋸歯状波(ノコギリ波)を使用しています。 また、AUDIO MIXERで2つのVCO出力の他に、リング・モジュレーターからの出力もミックスしています。これは、2つのVCOを同じピッチに設定した場合、リング・モジュレーターからはやや歪んだ質感の音色が得られ、これをVCO出力とミックスすることでより太い音色にしています。 VCF TYPEはI(Rev.1)を使用し、このタイプ特有のブライトで太めのサウンドになっています。 VCAのEGにはARを使用しています。一方、比較的パーカッシブな設定にしたADSRはVCFのカットオフとVCO1のパルス幅のモジュレーション(PWM)に使用しています。

SH-Wobble-Bass画像

ARP Timpani

ティンパニをシミュレートした音色です。VCO2の矩形波をVCO1の鋸歯状波(ノコギリ波)でモジュレーション(FM)し、ピッチ感をキープしつつ、胴鳴りの不協和音程を作っています。また、VCO2のピッチをADSRでわずかにモジュレーションし、叩いた時の微妙な音程変化を出しています。 オーディオ・ミキサー部でノイズ・ジェネレーターからの信号を混ぜ、打楽器の複雑な音を演出しています。VCO1はVCO2のモジュレーション用としてのみ使用していますので、ここでのレベルはゼロにし、VCO2のレベルを最大にします。 VCFは丸みのある音色が特徴的なType IIを使用し、カットオフを少し下げて高域成分を抑えています。また、演奏する音程に応じてカットオフを変化させるために、キーボードCVのレベルを最大にしています(これにより音程でカットオフが変化する割合が100%になります)。同時に、ADSRで作ったパーカッシブなエンベロープをカットオフにわずかにかけて、叩いた時のアタック感を出しています。 VCAのEGにはARを使用し、リリース・タイムを少し上げて叩いた後の余韻を作っています。

ARP-Timpani画像